（岡田）本日はお忙しいところお時間を頂きまして本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。
早速ですが、山田部長はご葬儀のお仕事に携わられてからどれくらいになりますか。

（山田部長）28歳から始めて、今年で17年目になります。それまでは高校卒業から10年間、漫画家になるという夢があったので、上京してまして。しかしなかなか芽が出ないという現実に向き合い、大阪に戻り家業である葬儀の仕事に就きました。

（岡田）漫画家と葬祭業、異なる部分が多いように思うのですが、実際はどうなんでしょうか。

『葬儀はクリエイティブな仕事』

（山田部長）たしかに一見大きく異なる2つですが、意外と繋がりを感じる部分もあるんです。
葬儀というのは、亡くなられた方を送るときに、どう演出するか、組み立てていくかというクリエイティブな面が大きいんです。その点において共通点は感じます。ただ、今まで携わってきた漫画というのは、深い構想のもと熟考を経て形作っていくタイプのものでしたが、葬儀は全く違います。特に葬儀会館ではなく公民館を借りて執り行う場合には、大違いです。
ご遺族の意向をもとに何も無いところを葬儀会場に変え、1日使用したらまた何もなかったようにもとに戻します。性格的にも元々熟考タイプだったんですが、こういう短いスパンでテンポ良くものづくりをする良さというものを、この仕事で学びました。

（岡田）何かを作り上げるという点！意外な共通点でした。

（山田部長）もちろんご葬儀の場合は、自分の好きなように作るわけではありません。
ご遺族のお気持ちが何より大切です。場合によっては故人のご希望を託されていらっしゃることも。
こういったご意向を聴き取って的確なご提案をすることが腕の見せ所ですし、一番やりがいを感じる部分でもあります。

（岡田）相談会でご一緒させていただいたときも、本当に親身にお話を聞いていらっしゃる姿が 印象的でした。

『小規模だからできるより細やかなサービスを』

（山田部長）そうですね。しっかりお話をお伺いするというのは当然のサービスとして弊社では徹底しています。私の父は元々大手の葬儀社に勤めており、大規模な社葬なども数多く携わってきました。
そこから独立し、大手の経験を踏まえながらも、小規模だからできるより細やかなサービスを大切にしてここまでやってきました。社長の経験や知識・想いを直接教えてもらいながら、日々より良いサービスを目指して勉強しておりますので、その点は強みですし、今後も大切にしていきます。

（岡田）大規模だと分業制になり、お客様との距離が遠い場合も多いと聞きます。小規模だからより徹底できる良さなんですね。家族経営であることで何か困られることはないですか。

（山田部長）同時に休みを取りにくいことですかね。みんなで旅行なんていうのはできないですよね。 いつご依頼が入るか分からない仕事柄、みんなでお酒も飲めません。深夜でも車で駆けつける必要がありますから。忘年会・新年会もなしです。
その分、休める時は交代できちんと休みます。

（岡田）貴重なお休み、どのように過ごされていますか。

（山田部長）大抵は友人と会います。アメリカンコミックス好きのサークルに所属しているんですが、そのメンバーとアメリカンコミックスの実写映画を観に行くんです。
なので、むしろ公開日にお休みを合わせる事もあります（笑）
その前後で買い物をしたり、食事に行ったり、そういう過ごし方が多いですね。

（岡田）趣味を大切にされていて素敵です。プロレスもお好きですよね！

（山田部長）好きですね〜。主に海外のアメリカのプロレスですが。長期休暇が取れれば観に行く事もあります。特に選手のイラストなんかを描いて、SNSで送ってあげたりすると、選手が覚えてくれたり、仲良くしていただいたりして。Tシャツのデザインを依頼してくれる選手もいたり。またファン同士で集まったり…。人との出逢いが嬉しいですね。

（岡田）すごいですね！そういう休日の過ごし方が、良いリフレッシュになっているんでしょうか。

（山田部長）リフレッシュという感覚ではないですね。
そもそも仕事が辛いということもないので。もちろん仕事の厳しさ・難しさを感じる事はありますが、リフレッシュが必要なようなストレスは感じていません。

（岡田）なるほど！世のサラリーマンの大多数は目から鱗ですよ（笑）

（山田部長）これも小規模経営の良さですが、17年のキャリアを経て、最近は経営に関わらせてもらっています。自分が企画し実行したことが数字に繋がるのは嬉しいですよね。そういう意味で楽しい時期でもあるんです。

（岡田）そうなんですね〜。きっと葬祭業も合ってらっしゃるんでしょうね。

（山田部長）お客様の為に最善と思われるプランを立て、形にしていく。
最高のサービスを提供するという仕事にやりがいを感じています。それでもやはり難しいのは、費用の部分です。ご希望のプランと費用とがうまく折り合うよう話合いを進めていきます。ご不明点があるようなら、とことん説明させていただきます。そういった部分を含め、やりがいを感じながら関わらせてもらっているので、仕事でストレスが溜まるなんて事はないですね。

（岡田）家族を亡くされてすぐのご遺族にとって、とても心強いでしょうね。
最後に、部長の座右の銘を教えてください。

『無駄な努力はない』

（山田部長）「無駄な努力はない」ですかね。
芽が出なかった漫画の仕事でも、今の仕事でコツコツ経験を積むことや、趣味での新しい繋がりに活かせています。葬祭業での努力も、思わぬ形で人の役に立つ事が合ったんです。以前、アメリカンコミックスのサークルにいる小説家の知人から、葬儀を題材にするので話を聞かせてほしいと頼まれました。もちろん個人情報に関わるような話はできませんので一般的な話だけですが。結果彼の小説はその界隈で有名な賞にノミネートされました。選には漏れましたが、微力ながらその役に立てたと思うと嬉しいですし、それがまた仕事の自信にも繋がりました。
努力はどこでどう繋がるかわかりません。無駄なものなどないと考えています。

（岡田）大切な心掛けですね。私も日々その気持ちで努力していきます。
本日は本当にありがとうございました！

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